【2012年マレーシア釣行】序
--「夢を叶えるという発想」が生まれた。シンプルなできごと。その序章。
釣りと、魚が好きだ。
けど、それで食っていくビジョンは見えなかった。
周囲に流され、とりあえず入った大学。
食いっぱぐれないだろうと、とりあえず選んだ工学部。
講義に身が入らなくなるまで、そう長い時間は要さなかった。
当時、大学二年生。
何を目指しているのかわからなくなっていた。
僕は何歳まで、何の意気込みを持って生きるのだろう。
死んでるようには生きたくないなぁ。
伊坂孝太郎の小説を読み、そんなことを思っていた。
できるなら、釣りをして暮らしたい。
憧れの魚を釣って回りたい。
小学校の文集では「将来の夢」に「アマゾンで釣りをする」と書いた。
周囲の人たちには「一番実現しそう」と軽く言われた。
かかる費用、日程の確保、それらがとても高いハードルであると
小学生ながらに感じていたんだ。
憧れの魚に出会う。そして、願わくば釣りを通して出会いたい。
幾度となく口にした「夢」は、発するたびに遠いものとなり、
永久に実現しない出来事として自らの中で燻り続けていた。
「夢は叶えるもの」その意味を知る
ある日、一冊の書籍を見つけた。
表紙にはでかいピラルクーと、それを抱きかかえる青年が載っていた。
おもむろに手に取り、その場で一時間ほど立ち読みしてしまった。
それは釣行記だった。
ある青年が、少ないお金と潤沢な情熱を持って海外を飛び回る話。
図鑑でしか見たことの無いような、憧れの魚たちを捕まえに。
震えた。
自分と年の変わらぬ若者が、こんなにすごいことを成し遂げている。
素直に尊敬すると同時に、「自分でもできるのではないか?」というその
あまりのハードルの低さに胸が高鳴っていた。
その日、僕は海外に行くことを決めた。
「生きがい」が生まれた瞬間だった。
次→